2022-10

古典

《堪能しきれない女郎花》

寛平御時、蔵人所のをのこともさかのに花見むとてまかりたりける時、かへるとてみな歌よみけるついてによめる  平さたふん はなにあかてなにかへるらむをみなへしおほかるのへにねなましものを (238) 花に飽かでなに帰るらむ女郎花多かる野辺に寝な...
古典

第二百二十四段  趣味と実用

陰陽師有宗入道、鎌倉よりのぼりて、尋ねまうで来りしが、まづさし入りて、「この庭のいたづらに広きこと、あさましく、あるべからぬ事なり。道を知る者は植うることを努む。細道ひとつ残して、皆畠に作り給へ」と諌め申しき。  誠に、少しの地をもいたづら...
古典

《男心をそそる花》

ものへまかりけるに、人の家にをみなへしうゑたりけるを見てよめる  兼覧王(かねみのおほきみ) をみなへしうしろめたくもみゆるかなあれたるやとにひとりたてれは (237) 女郎花後ろめたくも見ゆるかな荒れたる宿に一人立てれば 「あるところへ行...