2022-10

古典

第二百二十六段  『平家物語』の起源

後鳥羽院の御時、信濃前司行長、稽古の誉ありけるが、楽府の御論議の番に召されて、七徳の舞を二つ忘れたりければ、五徳の冠者と異名をつきにけるを、心憂き事にして、学問を捨てて遁世したりけるを、慈鎮和尚、一芸あるものをば下部までも召し置きて、不便に...
古典

《品のよい色と香》

これさたのみこの家の歌合によめる としゆきの朝臣 なにひとかきてぬきかけしふちはかまくるあきことにのへをにほはす (239) 何人か来て脱ぎ掛けし藤袴来る秋毎に野辺を匂はす 「誰が来て脱ぎ掛けたのかなあ。藤袴は来る秋毎に野辺を彩る。」 「な...
古典

第二百二十五段  白拍子の起源

多久資(ひさすけ)が申しけるは、通憲(みちのり)入道、舞の手の中に興ある事どもをえらびて、磯の禅師といひける女に教へて舞はせけり。白き水干に、鞘巻(さうまき)を差させ、烏帽子をひき入れたりければ、男舞とぞいひける。禅師が娘、静と言ひける、こ...