古典

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第百九十二段  参詣は人気がない夜に

神仏にも、人のまうでぬ日、夜まゐりたる、よし。 「神社仏閣にも、人が参詣しない日、しかも、その夜に参詣しているのがよい。」 人は神社仏閣へは、初詣やお盆など、誰もが行く祭日や縁日に参詣することが多い。しかし、それは真に信心からの行動であろう...
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《不揃いな秋》

題しらす  よみ人しらす いとはやもなきぬるかりかしらつゆのいろとるききももみちあへなくに (209) いと早も鳴きぬる雁か白露の彩る木々ももみぢ敢へなくに 「何とも早くも鳴いてしまった雁だなあ。白露が彩る木々も紅葉しきれないのに。」 「早...
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第百九十一段  夜のよさ

「夜に入りて物のはえなし」といふ人、いと口惜し。万のものの綺羅・飾り・色ふしも、夜のみこそめでたけれ。昼は、ことそぎ、およすげたる姿にてもありなん。夜は、きららかに、はなやかなる装束、いとよし。人の気色も、夜のほかげぞよきはよく、もの言ひた...