古典

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第二百三十四段  問答の心得

人のものを問ひたるに、「知らずしもあらじ、ありのままに言はんはをこがまし」とにや、心惑はすやうに返事したる、よからぬ事なり。知りたる事も、なほさだかにと思ひてや問ふらん。又、まことに知らぬ人もなどかなからん。うららかに言ひ聞かせたらんは、お...
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《露草の可憐さ》

題しらす よみ人しらす つきくさにころもはすらむあさつゆにぬれてののちはうつろひぬとも (247) 月草に衣は摺らむ朝露に濡れての後は移ろひぬとも 「私の着物は露草の花で摺って染めよう。朝露に濡れたその後は、たとえ色が褪せてしまったとしても...
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第二百三十三段  非難の回避

万の咎あらじと思はば、何事にもまことありて、人を分かず、うやうやしく、言葉少なからんにはしかじ。男女・老少、皆さる人こそよけれども、ことに、若くかたちよき人の、言うるはしきは、忘れがたく、思ひつかるるものなり。万の咎は、馴れたるさまに上手め...