山川 信一

古典

《根源的な悲しみ》

題しらす よみ人しらす ちるはなをなにかうらみむよのなかにわかみもともにあらむものかは (112) 散る花を何か恨みむ世中に我が身も共にあらむものかは 「散る花をなんで恨もうか。世の中に私自身も同様に有るものだろうか、ありはしない。」 「恨...
古典

第九十九段  時の権力の及ばぬこと

堀川相国は、美男のたのしき人にて、そのこととなく過差を好み給ひけり。御子基俊卿を大理になして、庁務おこなはれけるに、庁屋の唐櫃見ぐるしとて、めでたく作り改めらるべきよし仰せられけるに、この唐櫃は、上古より伝はりて、その始めを知らず、数百年を...
古典

《遠足気分》

題しらす よみ人しらす こまなめていさみにゆかむふるさとはゆきとのみこそはなはちるらめ (111) 駒並めていざ見に行かむ古里は雪とのみこそ花は散るらめ 「馬を並べて、さあ見に行こう。古里は今頃雪とばかりに花は散っているだろうが・・・。」 ...