山川 信一

古典

《恋の終わり》

題しらす よみ人しらす たまかつらいまはたゆとやふくかせのおとにもひとのきこえさるらむ (762) 玉鬘今は絶ゆとや吹く風の音にも人の聞こえざるらむ 「題知らず 詠み人知らず 今は絶えるというので、人づてにも人が聞こえて来ないのだろうか。」...
古典

《体の疼き》

題しらす よみ人しらす あかつきのしきのはねかきももはかききみかこぬよはわれそかすかく (761) 暁の鴫の羽掻き百はがき君が来ぬ夜は我ぞ数書く 「題知らず 詠み人知らず 暁の鴫の羽ばたきは数が多い。あなたが来ない夜は私がもっと数を書く。」...
古典

《見えない心》

題しらす よみ人しらす あひみねはこひこそまされみなせかはなににふかめておもひそめけむ (760) 相見ねば恋こそまされ水無瀬川何に深めて思ひそめけむ 「題知らず 詠み人知らず 情を交わさないので恋が勝るけれど、水無川のように表に出せない。...