山川 信一

古典

《月の両義》

題しらす なりひらの朝臣 おほかたはつきをもめてしこれそこのつもれはひとのおいとなるもの (879) 大方は月をも愛でしこれぞこの積もれば人の老いとなるもの 「題知らず 業平の朝臣 大体は月を愛すまい。これがこのように積もると人の老いとなる...
古典

《姨捨山の月》

題しらす よみ人しらす わかこころなくさめかねつさらしなやをはすてやまにてるつきをみて (878) 我が心慰めかねつ更級や姨捨山に照る月を見て 「題知らず 詠み人知らず 私の心を晴らしかねてしまった。更級の姨捨山に照る月を見て。」 「(兼ね...
古典

《屁理屈》

題しらす よみ人しらす おそくいつるつきにもあるかなあしひきのやまのあなたもをしむへらなり (877) 遅く出づる月にもあるかなあしひきの山のあなたも惜しむべらなり 「題知らず 詠み人知らず 遅く出る月でもあるなあ。山の向こうも惜しんでいる...