山川 信一

古典

《鹿と女郎花》

朱雀院のをみなへしあはせによみてたてまつりける みつね つまこふるしかそなくなるをみなへしおのかすむののはなとしらすや  (233) 妻恋ふる鹿ぞ鳴くなる女郎花己が住む野の花と知らずや 「朱雀院の女郎花合わせに詠んで、献上した  躬恒 妻を...
古典

第二百十九段  素人の説

四条の黄門命ぜられて言はく、「竜秋は、道にとりてはやんごとなき者なり。先日来りていはく、『短慮のいたり、きはめて荒涼の事なれども、横笛の五の穴は、聊かいぶかしき所の侍るかと、ひそかにこれを存ず。その故は、干の穴は平調、五の穴は下無調なり。そ...
古典

《女郎花の衰え》

朱雀院のをみなへしあはせによみてたてまつりける つらゆき たかあきにあらぬものゆゑをみなへしなそいろにいててまたきうつろふ (232) 誰が秋にあらぬものゆゑ女郎花なぞ色に出でて未だき移ろふ 「朱雀院の女郎花合わせに詠んで、献上した  貫之...