2022-02

古典

《春が終わる侘しさ》

やよひのつこもりの日、あめのふりけるにふちの花ををりて人につかはしける なりひらの朝臣 ぬれつつそしひてをりつるとしのうちにはるはいくかもあらしとおもへは (133) 濡れつつぞ強ひて折りつる年の内に春は幾日もあらじと思へば 「三月の月末の...
古典

第百二十段   舶来主義への批判

唐の物は、薬の外は、なくとも事欠くまじ。書どもは、この国に多くひろまりぬれば、書きても写してん。唐土船のたやすからぬ道に、無用の物どものみ取り積みて、所狭(せ)く渡しもて来る、いと愚かなり。「遠き物を宝とせず」とも、又、「得がたき貨を貴まず...
古典

《春の疎外感》

やよひのつこもりの日、花つみよりかへりける女ともを見てよめる  みつね ととむへきものとはなしにはかなくもちるはなことにたくふこころか (132) 留むべき物とはなしに儚くも散る花ごとにたぐふ心か 「三月の終わりの日、花摘みから帰って来た女...