古典

第百六十二段  承仕法師の異常性

遍照寺の承仕法師、池の鳥を日来飼ひつけて、堂のうちまで餌をまきて、戸ひとつあけたれば、数も知らず入りこもりけるのち、おのれも入りて、たて篭めて、捕へつつ殺しけるよそほひ、おどろおどろしく聞えけるを、草かる童聞きて、人に告げければ、村の男ども...
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《秋を帰したくない》

題しらす よみ人しらす ひさかたのあまのかはらのわたしもりきみわたりなはかちかくしてよ (174) 久方の天の河原の渡守君渡りなば楫隠してよ 「天の河原の渡守よ。君が渡ってしまったら楫を隠してしまえ。」 「ひさかたの」は「天」に掛かる枕詞。...
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第百六十一段  俗説の当ての無さ

花のさかりは、冬至より百五十日とも、時正の後、七日ともいへど、立春より七十五日、おほやうたがはず。 時正:(じしょう)昼夜の長さが等しいという意。春分と秋分の日。 「花の盛りは、冬至から百五十日とも、春分の後、七日とも言うけれど、立春から七...