古典

第百五十七段   形から入れ

筆をとれば物書かれ、楽器をとれば音をたてんと思ふ。盃をとれば酒を思ひ、賽をとれば攤(だ)打たん事を思ふ。心は必ず事に触れて来たる。かりにも不善の戯れをなすべからず。  あからさまに聖教の一句を見れば、何となく前後の文も見ゆ。卒爾にして多年の...
古典

古今集 巻四:秋上 《秋は風から》

秋立つ日よめる  藤原敏行朝臣 あききぬとめにはさやかにみえねともかせのおとにそおとろかれぬる (169) 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる 「立秋の日に詠んだ  藤原敏行朝臣 秋が来たと目にははっきり見えないけれど、風...
古典

第百五十六段  事実の見方

大臣の大饗は、さるべき所を申しうけておこなふ、常の事なり。宇治左大臣殿は、東三条殿にておこなはる。内裏にてありけるを、申されけるによりて、他所へ行幸ありけり。させることのよせなけれども、女院の御所など借り申す、故実なりとぞ。 大臣の大饗:大...