古典

《露の秋》

題しらす よみ人しらす ひとりぬるとこはくさはにあらねともあきくるよひはつゆけかりけり (188) 一人寝る床は草はにあらねども秋来る宵は露けかりけり 「一人寝る夜の床は草ではないけれど、秋が来る宵は露っぽいことだなあ。」 「露けかりけり」...
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第百七十五段  酒を無理強いする悪習

世には心得ぬ事の多きなり。ともあるごとには、まづ酒をすすめて、強ひ飲ませたるを興とする事、如何なるゆゑとも心得ず。飲む人の顔、いと堪へがたげに眉をひそめ、人目をはかりて捨てんとし、逃げんとするを、捕へて、ひきとどめて、すずろに飲ませつれば、...
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《哀しみを誘う紅葉》

題しらす よみ人しらす ものことにあきそかなしきもみちつつうつろひゆくをかきりとおもへは (187) もの毎に秋ぞ悲しきもみぢつつ移ろひ行くを限りと思へば 「もの毎に秋が悲しいことだ。木の葉が色を変わりながら散っていくのをこれで最後と思うの...