古典

《物思いの季節》

これさたのみこの家の歌合のうた よみ人しらす いつはとはときはわかねとあきのよそものおもふことのかきりなりける (189) いつはとは時は分かねど秋の夜ぞ物思ふことの限りなりける 「いつはとは時は区別しないけれど、秋こそが物思うことの最たる...
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第百七十五段  酒による醜態

人のうへにて見るだに心憂し。思ひ入りたるさまに、心にくしと見し人も、思ふ所なく笑ひののしり、詞多く、烏帽子ゆがみ、紐はづし、脛高くかかげて、用意なき気色、日来の人とも覚えず。女は額髪はれらかにかきやり、まばゆからず顔うちささげてうち笑ひ、盃...
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《露の秋》

題しらす よみ人しらす ひとりぬるとこはくさはにあらねともあきくるよひはつゆけかりけり (188) 一人寝る床は草はにあらねども秋来る宵は露けかりけり 「一人寝る夜の床は草ではないけれど、秋が来る宵は露っぽいことだなあ。」 「露けかりけり」...