古典

《答えの出ない秋》

これさたのみこの家の歌合によめる  大江千里 つきみれはちちにものこそかなしけれわかみひとつのあきにはあらねと (193) 月見れは千々に物こそかなしけれ我が身一つの秋にはあらねど 「是貞親王の家の歌合に詠んだ  大江千里 月を見るとあれこ...
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第百七十七段  故事に学べ

鎌倉中書王にて、御毬ありけるに、雨降りて後、いまだ庭の乾かざりければ、いかがせんと沙汰ありけるに、佐々木隠岐入道、鋸の屑を車に積みて、多く奉りたりければ、一庭に敷かれて、泥土のわづらひなかりけり。「とりためけん用意ありがたし」と、人感じあへ...
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《秋の夜更け》

題しらす よみ人しらす さよなかとよはふけぬらしかりかねのきこゆるそらにつきわたるみゆ (192) さ夜中と夜は更けぬらし雁が音の聞こゆる空に月渡る見ゆ 「もう真夜中になって夜はすっかり更けてしまったらしい。雁の鳴き声が聞こえる空に月が渡る...