古典

第二百三十八段  兼好の自慢話 その七 ~ハニートラップ?~

一、二月十五日、月あかき夜、うちふけて、千本の寺に詣でて、後より入りて、ひとり顔深くかくして聴聞し侍りしに、優なる女の、姿・匂ひ人よりことなるが、わけ入りて膝に居かかれば、匂ひなども移るばかりなれば、便あしと思ひて、すりのきたるに、なほ居寄...
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《自然の驚異への感動》

これさたのみこの家の歌合によめる としゆきの朝臣 しらつゆのいろはひとつをいかにしてあきのこのはをちちにそむらむ (257) 白露の色は一つをいかにして秋の木の葉を千々に染むらむ 「是貞の親王の家の歌合で詠んだ  敏行の朝臣 白露の色は一つ...
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第二百三十八段  兼好の自慢話 その六 ~人物識別~

一、賢助僧正にともなひて、加持香水を見侍りしに、いまだ果てぬほどに、僧正帰りて侍りしに、陳の外まで僧都見えず。法師どもを帰して求めさするに、「同じさまなる大衆多くて、え求め逢はず」と言ひて、いと久しくして出でたりしを、「あなわびし。それ、求...