古典

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第百六十段  言葉遣いの基準

門に額かくるを、「うつ」といふはよからぬにや。勘解由小路の二品禅門は、「額かくる」とのたまひき。「見物の桟敷うつ」もよからぬにや。「平張うつ」などは常の事なり。「桟敷構ふる」などいふべし。「護摩たく」といふも、わろし。「修する」、「護摩する...
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《稲葉による風》

題しらす よみ人しらす きのふこそさなへとりしかいつのまにいなはそよきてあきかせのふく (172) 昨日こそ早苗取りしかいつの間に稲葉そよぎて秋風の吹く 「昨日早苗を取ったのに、いつの間に稲葉がそよいで秋風が吹くことだなあ。」 「昨日こそ早...
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第百五十九段  貝の名へのこだわり

「みなむすびといふは、糸を結びかさねたるが、蜷(みな)といふ貝に似たればといふ」と、あるやんごとなき人仰せられき。「にな」といふは、あやまりなり。 「『蜷結びと言うのは、糸を結び重ねた形が、蜷という貝に似ているのでと言う。』と、ある高貴な方...