山川 信一

古典

《春雨に濡れた青柳》

西大寺のほとりの柳をよめる  僧正遍昭 あさみとりいとよりかけてしらつゆをたまにもぬけるはるのやなきか (27) 浅緑糸縒りかけて白露を玉にも抜ける春の柳か 西大寺:朱雀通りの南門の外に建てられた東西の大寺の西の方。 浅緑:薄い緑色。薄緑。...
古典

第二十一段 自然への思い

よろづのことは、月見るにこそ慰むものなれ、ある人の、「月ばかり面白きものはあらじ」と言ひしに、又ひとり、「露こそあはれなれ」と争ひしこそをかしけれ、折にふれば、何かはあはれならざらん。  月・花はさらなり。風のみこそ人に心はつくめれ、岩に砕...
古典

《技巧と感動》

歌たてまつれとおほせられし時によみてたてまつれる  つらゆき あをやきのいとよりかくるはるしもそみたれてはなのほころひにける (26) 青柳の糸縒りかくる春しもぞ乱れて花の綻びにける 青柳:春の芽吹きから新緑にかけての青々とした柳。 しも:...