山川 信一

古典

《霞む風景》

題しらす  在原行平朝臣 はるのきるかすみのころもぬきをうすみやまかせにこそみたるへらなれ (23) 春の着る霞の衣貫きを薄み山風にこそ乱るべらなれ 春の着る霞:春が着ている霞。春を擬人化している。 貫きを薄み:名詞+「を」+形容詞の語幹+...
古典

第十九段 四季への思い ~夏~

「灌仏会の比、祭の比、若葉の梢涼しげに茂りゆくほどこそ、世のあはれも、人の恋しさもまされ」と人のおほせられしこそ、げにさるものなれ、五月、あやめふく比、早苗とるころ、水鶏(くいな)のたたくなど、心ぼそからぬかは。六月の比、あやしき家に夕顔の...
古典

《若菜摘みの華やいだ気分》

歌たてまつれとおほせられし時よみてたてまつれる  つらゆき かすかののわかなつみにやしろたへのそてふりはへてひとのゆくらむ (22) 春日野の若菜摘みにや白妙の袖ふりはへて人の行くらむ ふりはへて:「ふり」に袖を「振り」と「わざわざ」の意の...