山川 信一

古典

第百十二段  諸縁を絶て

明日は遠き国へ赴くべしと聞かん人に、心閑になすべからんわざをば、人、言ひかけてんや。俄かの大事をも営み、切になげく事もある人は、他の事を聞き入れず、人の愁へ・喜びをも問わず。問はずとて、などやと恨むる人もなし。されば、年もやうやうたけ、病に...
古典

《川底の山吹》

よしの河のほとりに山ふきのさけりけるをよめる  つらゆき よしのかはきしのやまふきふくかせにそこのかけさへうつろひにけり (124) 吉野河岸の山吹吹く風に底の影さへ移ろひにけり 「吉野河の岸辺に山吹の花が咲いていたのを詠んだ 吉野河の岸辺...
古典

第百十一段   柔軟な思考

「囲碁・双六好みて明かし暮らす人は、四重・五逆にもまされる悪事とぞ思ふ」と、あるひじりの申しし事、耳にとどまりて、いみじくおぼえ侍る。 四重:(しぢゃう)仏教語。四種の大罪。邪淫戒・偸盗戒・殺生戒・妄語戒を犯すこと。 五逆:(ごぎゃく)仏教...