第百九十七段  定額の意味

 諸寺の僧のみにもあらず、定額の女孺といふ事、延喜式に見えたり。すべて、数さだまりたる公人の通号にこそ。

定額:一定の人数のこと。
女孺:内侍の司に属し、清掃や点灯などの雑務を担当する下級の女官。
延喜式:九二七年に成った法令内規の書。

「諸寺の僧についてだけ言うのでもなく、定額の女孺と言う事が延喜式に見えている。すべて、数が定まっている下級役人の呼び名なのだろうが・・・。」

 有職故実について蘊蓄を傾けている。ここでも、平安時代についての関心が強いことがわかる。兼好の時代は、女性が軽んじられていたのだろうか。

コメント

  1. すいわ より:

    確かにそういった役割が存在して働き手として雇う数が定まっている以上は法律書に書いたのだろうけれど、、(そんな重要な仕事でもあるまいに載せる必要あるのか?どうせ喋るのに夢中でロクな働きもしていないだろうに)というニュアンスなのでしょうか?口ばかり動いて手がお留守の下働きの女を苦々しく思っているのでしょうか。まともに立ち働いていたらこんな書き方はしないのでしょうね。

    • 山川 信一 より:

      これは様々な理由が考えられますね。兼好の時代には、女性が無視されていたのかも知れません。昔は、ちゃんと配慮されていたのにと、言いたいのでしょうか。

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