2023-10

古典

《我と心と身と》

題しらす 読人しらす ひとをおもふこころはわれにあらねはやみのまよふたにしられさるらむ (523) 人を思ふ心は我にあらねばや身の迷ふだに知られざるらむ 「人を思う心は私ではないから、身が迷うことすら知ることができないでいるのだろうか。」 ...
古典

《仕返し》

題しらす 読人しらす ゆくみつにかすかくよりもはかなきはおもはぬひとをおもふなりけり (522) ゆく水にかすかくよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり 「流れゆく水に数を書くよりも儚いのは思はない人を思うことだったなあ。」 「(思は)ぬ」...
古典

《山彦と溜息》

題しらす 読人しらす つれもなきひとをこふとてやまひこのこたへするまてなけきつるかな (521) つれもなき人を恋ふとて山彦の応へするまで嘆きつるかな 「つれない人を恋うということで山彦が応えるまで溜息をついてしまったことだなあ。」 「つれ...