二十二日に

廿二日に、いづみのくにまでとたひらかに願たつ。ふじはらのときざねふなぢなれむまのはなむけす。かみなかしもゑひあきていとあやしくしほうみのほとりにてあざれあへり。

この部分に漢字を当てると次のようになる。
「二十二日に、和泉の国までと平らかに願立つ。藤原時実、船路なれど馬の鼻向けす。上中下酔い飽きていと怪しく潮海の辺にてあざれ合へり。」

たひらかに願たつ:心安らかに神仏に祈る。
むまのはなむけ:送別の宴。餞別。
上中下:身分の上中下。主人も家来も。
しほうみ:海のこと。(わざわざ塩と言う。)
あざる:〈ふざける〉と〈くさる〉が掛かっている。

問1 なぜ「廿二日に」と「に」が入ってるのか、答えなさい。(以下の日付には入っていない。)
問2「和泉の国まで」からどんなことがわかるか、答えなさい。
問3「ふじわらのときざね」に対してどんな思いを抱いているか、答えなさい。
問4「あやしく」と言うのはなぜか、答えなさい。
問5 ここには、洒落が二つ書かれている。どんな思いが籠められているか、答えなさい。

コメント

  1. すいわ より:

    問一 「はつかあまりふたひに」の「に」、助詞ですよね。この日限定で特別な事があるのか?二十二と二が重なるので二つの意味を持たせる文を書くことを匂わせて「に」?

    問二 「和泉の国まで」船に乗って海路での旅。そこから先の都までは陸路?和泉は大阪ですね、、「難波」を恐れて「ナニワ」と言わずに海路が荒れないよう神に祈ったのでしょうか?

    問三 送別の宴を開いてくれた時実→船旅なのに「馬」の鼻向けとは(愛情を持って)バカだなぁ!

    問四 みんな強か酒に酔ってとても不思議な事に海辺でふざけ合っている→酔っ払いが海辺に出てふざけ合って騒いでいる感じでしょうか?何が不思議なのか?「あざる」が今ひとつ掴めないので辞書を引いたら「戯る」「鯘る」がありました。「くさる」は船旅で酔うのが気鬱で「くさる」のかと思いましたが塩した魚が「鯘る(魚が腐る)」のが不思議、とでも言いたいのか?お手上げです、わかりません。

    問五 問二の「難波」問三の「海路なのに馬」という二つの洒落からこれから始まる船旅の安全を願っている。

    • 山川 信一 より:

      問1は時間の流れを考えてみるといいでしょう。まだ昨日が続いているのです。問2は難波を恐れてというのは面白い解釈ですね。ただ和泉の方が手前にあります。まず本州に着くという意味では和泉なのでしょう。
      問3はよいところを突いています。問4は、辞書を引いて自分で考えることが立派です。だらしなく酔っぱらっている姿を腐るとたとえたのでしょう。問5の二つの洒落は、「海路なのに馬」と「あさる(戯ると腐る)を言っています。誤解を与えました。

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