2020-05

古典

見えざる声との対談

後で考えれば不思議だったが、その時、袁傪は、この超自然の怪異を、実に素直に受容《うけい》れて、少しも怪もうとしなかった。彼は部下に命じて行列の進行を停《と》め、自分は叢の傍《かたわら》に立って、見えざる声と対談した。都の噂《うわさ》、旧友の...
古典

李徴の悲劇

叢の中からは、暫《しばら》く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微《かす》かな声が時々|洩《も》れるばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。 袁傪は恐怖を忘れ、馬から下りて叢に近づき、懐《なつ》かし...
古典

虎となった李徴登場

翌年、監察御史《かんさつぎょし》、陳郡《ちんぐん》の袁傪《えんさん》という者、勅命を奉じて嶺南《れいなん》に使《つかい》し、途《みち》に商於《しょうお》の地に宿った。次の朝|未《ま》だ暗い中《うち》に出発しようとしたところ、駅吏が言うことに...