2020-05

古典

下人のその後

下人の行方は、誰も知らない。  美鈴がトリになった。最後の一文だ。どんな風にまとめるのかな?「実は、この文は初め「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつゝあつた。」となっていました。それをこう書き改めました。その理由は何でし...
古典

その後の老婆

しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。そうして、そこから、短い...
古典

すばやく、またたく間に

下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。梯子の口までは、僅に五歩を数えるばかりである。下人は、剥ぎとった檜皮色の着物をわきにかかえて、またたく間に急な梯子を夜の底へかけ下り...