古典 遊戯のとりこ 僕は、八つか九つのとき、ちょう集めを始めた。初めは特別熱心でもなく、ただ、はやりだったのでやっていたまでだった。ところが、十歳ぐらいになった二度目の夏には、僕は全くこの遊戯のとりこになり、ひどく心を打ちこんでしまい、そのため、ほかのことはす... 2019.12.17 古典
古典 フェード・アウト 彼は、ランプのほやの上でたばこに火をつけ、緑色のかさをランプに載せた。すると、わたしたちの顔は、快い薄暗がりの中に沈んだ。彼が開いた窓の縁に腰掛けると、彼の姿は、外のやみからほとんど見わけがつかなかった。わたしは葉巻を吸った。外では、かえる... 2019.12.16 古典
古典 汚してしまった過去 その思い出が不愉快ででもあるかのように、彼は口早にそう言った。その直後、わたしが箱をしまって戻ってくると、彼は微笑して、巻きたばこをわたしに求めた。 「悪く思わないでくれたまえ。」と、それから彼は言った。「君の収集をよく見なかったけれど。僕... 2019.12.14 古典