2019-12

古典

あらゆる点で模範少年

僕の両親は、立派な道具なんかくれなかったから、僕は、自分の収集を、古いつぶれたボール紙の箱にしまっておかなければならなかった。瓶の栓から切り抜いた、丸いコルクを底にはり付け、ピンをそれに留めた。こうした箱のつぶれた縁の間に、僕は、自分の宝物...
古典

センス・オブ・ワンダー

昆虫少年だったかつての私にとって、センス・オブ・ワンダーは、まぎれもなくルリボシカミキリという小さなカミキリムシの青さだった。この青にはビロウドのように細かくさざ波がある。そして鉱物を思わせる輝きがあり、海に似た深度がある。あのフェルメール...
古典

微妙な喜びと、激しい欲望

今でも、美しいちょうを見ると、おりおり、あの熱情が身にしみて感じられる。そういう場合、僕はしばしの間、子供だけが感じることのできる、あのなんともいえない、むさぼるような、うっとりした感じに襲われる。少年のころ、初めてキアゲハにしのび寄った、...