古典

第二十三段  宮中讃美

おとろへたる末の世とはいへど、なほ九重の神さびたる有様こそ、世づかずめでたきものなれ、露台・朝餉・何殿・何門などは、いみじとも聞ゆべし、あやしの所にもありぬべき小蔀・小板敷・高遣戸なども、めでたくこそ聞ゆれ、「陣に夜の設せよ」といふこそいみ...
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《春の愁い》

題しらす よみ人しらす ももちとりさへつるはるはものことにあらたまれともわれそふりゆく (28) 百千鳥囀る春は物ごとに改まれども我ぞ旧り行く 百千鳥:数多くの小鳥。いろいろな鳥。 「沢山の、そして、様々な鳥が囀る春。春は、物がいずれもみな...
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第二十二段  尚古趣味

なに事も、古き世のみぞしたはしき。今様は無下にいやしくこそなりゆくめれ、かの木の道のたくみの造れる、うつくしき器物も、古代の姿こそをかしと見ゆれ、文の詞などぞ、昔の反古どもはいみじき。ただ言ふ言葉も口をしうこそなりもてゆくなれ、「いにしへは...