古典

《実景から内省へ》

おもひに侍りけるとしの秋、山てらへまかりけるみちにてよめる つらゆき あさつゆのおくてのやまたかりそめにうきよのなかをおもひぬるかな (842) 朝露のおくての山田かりそめに憂き世中を思ひぬるかな 「喪に服しておりました年の秋、山寺へ行った...
古典

《父の死》

ちちかおもひにてよめる たたみね ふちころもはつるるいとはわひひとのなみたのたまのをとそなりける (841) 藤衣はつるる糸は侘び人の涙の玉の緒とぞなりける 「父の喪中に詠んだ 忠岑 喪服の解れる糸は嘆きに沈む人の涙の玉の紐となったことだな...
古典

《母の死》

ははかおもひにてよめる 凡河内みつね かみなつきしくれにぬるるもみちははたたわひひとのたもとなりけり (840) 神な月時雨に濡るる紅葉葉はただ侘び人の袂なりけり 「母の喪中に詠んだ 凡河内躬恒 神無月の時雨に濡れる紅葉葉はそのまま嘆きにあ...