古典

第五十四段   法師の実態

御室に、いみじき児のありけるを、いかでさそひ出して遊ばんとたくむ法師どもありて、能あるあそび法師どもなどかたらひて、風流の破子やうのもの、ねんごろに営み出でて、箱風情の物にしたため入れて、双の岡の便よき所に埋みおきて、紅葉散らしかけなど、思...
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《散ってしまえば桜じゃない》

返し なりひらの朝臣 けふこすはあすはゆきとそふりなましきえすはありともはなとみましや   (63) 今日来ずは明日は雪とぞ降りなまし消えずは有りとも花と見ましや ずは:仮定を表す。「もし・・・ならば」 まし:反実仮想の助動詞。「もし・・・...
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第五十三段  受けを狙らい過ぎると・・・

これも仁和寺の法師。童の法師にならんとする名残とて、おのおのあそぶ事ありけるに、酔ひて興に入るあまり、傍なる足鼎を取りて、頭にかづきたれば、つまるやうにするを、鼻をおし平めて、顔をさし入れて舞ひでたるに、満座興に入る事かぎりなし。しばしかな...