古典

第百八十八段  目標と行動のずれ

或者、子を法師になして、「学問して因果の理をも知り、説教などして世わたるたづきともせよ」と言ひければ、教へのままに、説教師にならんために、先づ馬に乗り習ひけり。輿・車は持たぬ身の、導師に請ぜられん時、馬など迎へにおこせたらんに、桃尻にて落ち...
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《松虫と自分》

題しらす よみ人しらす もみちはのちりてつもれるわかやとにたれをまつむしここらなくらむ (203) 紅葉葉の散りて積もれる我が宿に誰を松虫ここら鳴くらむ 「紅葉の葉が散って積もっている私の家に誰を待って松虫がこれほど頻りに鳴いているのだろう...
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第百八十七段  成功の心得

よろづの道の人、たとひ不堪なりといへども、堪能の非家の人にならぶ時、必ず勝る事は、たゆみなく慎みて軽々しくせぬと、ひとへに自由なるとの等しからぬなり。芸能・所作のみにあらず、大方のふるまひ・心づかひも、愚かにして慎めるは得の本なり。巧みにし...