古典

第百八十八段  大事を思い定める

この法師のみにもあらず。世間の人、なべてこの事あり。若き程は、諸事につけて、身を立て、大きなる道をも成じ、能をもつき、学問をもせんと、行末久しくあらます事ども心にはかけながら、世を長閑に思ひてうち怠りつつ、先づ、さしあたりたる目の前の事にの...
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《「日暮らし」ではなく「日暗し」

題しらす よみ人しらす ひくらしのなきつるなへにひはくれぬとおもふはやまのかけにそありける (204) 蜩の鳴きつるなへに日は暮れぬと思ふは山の蔭にぞありける 「蜩が鳴き止むのと同時に日は暮れてしまったと思うのは、山の蔭であったのだなあ。」...
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第百八十八段  目標と行動のずれ

或者、子を法師になして、「学問して因果の理をも知り、説教などして世わたるたづきともせよ」と言ひければ、教へのままに、説教師にならんために、先づ馬に乗り習ひけり。輿・車は持たぬ身の、導師に請ぜられん時、馬など迎へにおこせたらんに、桃尻にて落ち...