古典

第二百七段  迷信を超える理屈

亀山殿建てられんとて、地を引かれけるに、大きなる蛇、数も知らず凝り集りたる塚ありけり。「この所の神なり」といひて、ことのよしを申しければ、「いかがあるべき」と勅問ありけるに、「古くよりこの地を占めたる物ならば、さうなく掘り捨てられがたし」と...
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《独り身の寂しさ》

題しらす  よみ人しらす あきはきのしたはいろつくいまよりやひとりあるひとのいねかてにする (220) 秋萩の下葉色づく今よりや独りある人の寝ねがてにする 「秋萩の下葉が色付く。今からは独り身の人を寝つきにくくするのだろうか。」 「色づく」...
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第二百六段  何が重要か

徳大寺の右大臣殿、検非違使の別当の時、中門にて使庁の評定おこなはれける程に、官人章兼(あきかね)が牛はなれて、庁のうちへ入りて、大理の座の浜床の上にのぼりて、にれうちかみて臥したりけり。重き怪異なりとて、牛を陰陽師のもとへつかはすべきよし、...