古典

《萩の露の美しさ》

題しらす  よみ人しらす/ある人のいはく、この歌はならのみかとの御歌なりと  はきのつゆたまにぬかむととれはけぬよしみむひとはえたなからみよ (222) 萩の露玉に抜かむと取れば消ぬよし見む人は枝ながら見よ 「題知らず 詠み人知らず/ある人...
古典

第二百八段  形式主義への戒め

経文などの紐を結ふに、上下よりたすきにちがへて、二筋の中より、わなの頭を横さまに引き出す事は、常の事なり。さやうにしたるをば、華厳院弘舜僧正、解きてなほさせけり。「これはこの比やうの事なり。いとにくし。うるはしくは、ただくるくると巻きて、上...
古典

《秋の天と地》

題しらす  よみ人しらす なきわたるかりのなみたやおちつらむものおもふやとのはきのうへのつゆ  (221) 鳴き渡る雁の涙や落ちつらむ物思ふ宿の萩の上の露 「鳴き渡る雁の涙が落ちたのだろうか。物思う宿の萩の上の露は。」 「涙や」の「や」は、...