古典

第二百六段  何が重要か

徳大寺の右大臣殿、検非違使の別当の時、中門にて使庁の評定おこなはれける程に、官人章兼(あきかね)が牛はなれて、庁のうちへ入りて、大理の座の浜床の上にのぼりて、にれうちかみて臥したりけり。重き怪異なりとて、牛を陰陽師のもとへつかはすべきよし、...
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《主役は秋萩》

むかしあひしりて侍りける人の、秋ののにあひて物かたりしけるついてによめる みつね あきはきのふるえにさけるはなみれはもとのこころはわすれさりけり (219) 昔逢ひ知りて侍りける人の秋の野に逢ひて物語しけるついでに詠める  躬恒 秋萩の古枝...
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第二百五段  起請文の是非

比叡山に、大師勧請の起請といふ事は、慈恵僧正書き始め給ひけるなり。起請文といふ事、法曹にはその沙汰なし。いにしへの聖代、すべて起請文につきておこなはるる政はなきを、近代、この事流布したるなり。又、法令には、水火に穢れをたてず。入物には穢れあ...