古典

第百九十七段  定額の意味

諸寺の僧のみにもあらず、定額の女孺といふ事、延喜式に見えたり。すべて、数さだまりたる公人の通号にこそ。 定額:一定の人数のこと。 女孺:内侍の司に属し、清掃や点灯などの雑務を担当する下級の女官。 延喜式:九二七年に成った法令内規の書。 「諸...
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《侘しさの程》

これさたのみこの家の歌合のうた たたみね やまさとはあきこそことにわひしけれしかのなくねにめをさましつつ  (214) 山里は秋こそ殊に侘しけれ鹿の鳴く音に目を覚ましつつ 「是貞親王の家の歌合わせの歌  壬生忠岑 山里は秋が特に侘しいけれど...
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第百九十六段  在りし日の通基

東大寺の神輿、東寺の若宮より帰座の時、源氏の公卿まゐられけるに、この殿、大将にて、さきをおはれけるを、土御門相国、「社頭にて警蹕(けいひつ)いかが侍るべからん」と申されければ、「随身のふるまひは、兵仗の家が知る事に候」とばかり答へ給ひけり。...