古典

《秋の草の色》

題しらす よみ人しらす みとりなるひとつくさとそはるはみしあきはいろいろのはなにそありける (245) 緑なる一つ草とぞ春は見し秋はいろいろの花にぞありける 「どの草も緑の同じ草だと春は見た。けれど、秋は様々な花であることだなあ。」 「緑な...
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第二百三十一段  嫌みなわざとらしさ

園(その)の別当入道は、さうなき庖丁者なり。ある人のもとにて、いみじき鯉を出だしたりければ、皆人、別当入道の庖丁を見ばやと思へども、たやすくうち出でんもいかがとためらひけるを、別当入道さる人にて、「この程百日の鯉を切り侍るを、今日欠き侍るべ...
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《斬新な取り合わせ》

寛平御時きさいの宮の歌合のうた 素性法師 我のみやあはれとおもはむきりきりすなくゆふかけのやまとなてしこ (244) 我のみやあはれと思はむ蟋蟀鳴く夕影の大和撫子 「宇多天皇の御代皇后温子様の歌合の歌  素性法師 私だけがかわいいと思うのだ...