古典

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大道髪の如きウンテル、デン、リンデン

余は模糊《もこ》たる功名の念と、検束に慣れたる勉強力とを持ちて、忽《たちま》ちこの欧羅巴《ヨオロツパ》の新大都の中央に立てり。何等《なんら》の光彩ぞ、我目を射むとするは。何等の色沢ぞ、我心を迷はさむとするは。菩提樹下と訳するときは、幽静なる...
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名はいつも一級の首にしるされたり

余は幼き比《ころ》より厳しき庭の訓《をしへ》を受けし甲斐《かひ》に、父をば早く喪《うしな》ひつれど、学問の荒《すさ》み衰ふることなく、旧藩の学館にありし日も、東京に出でゝ予備黌《よびくわう》に通ひしときも、大学法学部に入りし後も、太田豊太郎...
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いで、その概略を文に綴りて見む

嗚呼《あゝ》、ブリンヂイシイの港を出《い》でゝより、早や二十日《はつか》あまりを経ぬ。世の常ならば生面《せいめん》の客にさへ交《まじはり》を結びて、旅の憂さを慰めあふが航海の習《ならひ》なるに、微恙《びやう》にことよせて房《へや》の裡《うち...