古典

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第五十三段  受けを狙らい過ぎると・・・

これも仁和寺の法師。童の法師にならんとする名残とて、おのおのあそぶ事ありけるに、酔ひて興に入るあまり、傍なる足鼎を取りて、頭にかづきたれば、つまるやうにするを、鼻をおし平めて、顔をさし入れて舞ひでたるに、満座興に入る事かぎりなし。しばしかな...
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《移ろいやすい桜より・・・》

さくらの花のさかりに、ひさしくとはさりける人のきたりける時によみける  よみ人しらす あたなりとなにこそたてれさくらはなとしにまれなるひともまちけり (62) 徒なりと名にこそ立てれ桜花年に希なる人も待ちけり あだ:移ろいやすく頼りにならな...
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第五十二段  単独行動の落とし穴

仁和寺にある法師、年よるまで、石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、ただひとりかちより詣でけり。極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。さて、かたへの人にあひて、「年比思ひつること、果し侍りぬ。聞きしにも過ぎ...