古典

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《満開の桜を見て》

題しらす  きのありとも さくらいろにころもはふかくそめてきむはなのちりなむのちのかたみに (66) 桜色に衣は深く染めて着む花の散りなむ後の形見に 「桜色に衣は深く染めて着よう花が散ってしまった後の形見として。」 「題しらず」は、歌だけで...
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第五十六段  話す時のたしなみ

久しく隔りて逢ひたる人の、我が方にありつる事、かずかずに残りなく語りつづくるこそ、あいなけれ、隔てなくなれぬる人も、ほどへて見るは、はづかしからぬかは。つぎさまの人は、あからさまに立ち出でても、今日ありつる事とて、息もつぎあへず語り興ずるぞ...
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《散るまで味わう》

題しらす よみ人しらす をりとらはをしけにもあるかさくらはないさやとかりてちるまてはみむ (65) 折り取らば惜しげにもあるか桜花いざ宿借りて散るまでは見む 「もし折り取るならば、惜しいことであるなあ、桜花は。さあ、宿を借りて散るまでは見よ...