古典

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第五十五段  実用的住居論

家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へがたき事なり。深き水は涼しげなし。浅くて流れたる、遥かにすずし。こまかなる物を見るに、遣戸は蔀の間よりも明し。天井の高きは、冬寒く、灯暗し。造作は、用なき所...
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《桜を折る心》

題しらす よみ人しらす ちりぬれはこふれとしるしなきものをけふこそさくらをらはをりてめ (64) 散りぬれば恋ふれど著し無きものを今日こそ桜折らば折りてめ てめ:「て」は、意志的完了の助動詞「つ」の未然形。「め」は意志の助動詞「む」の已然形...
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第五十四段   法師の実態

御室に、いみじき児のありけるを、いかでさそひ出して遊ばんとたくむ法師どもありて、能あるあそび法師どもなどかたらひて、風流の破子やうのもの、ねんごろに営み出でて、箱風情の物にしたため入れて、双の岡の便よき所に埋みおきて、紅葉散らしかけなど、思...