古典

古典

第百三段  忠守が怒った理由

大覚寺殿にて、近習の人ども、なぞなぞを作りて解かれける処へ、医師忠守参りたりけるに、侍従大納言公明卿、「我が朝の者とも見えぬ忠守かな」と、なぞなぞにせらけにけるを、「からへいじ」と解きて笑ひあはれければ、腹立ちて退(まか)り出でにけり。 大...
古典

《ダブルイメージ》

しかの山こえに女のおほくあへりけるによみてつかはしける つらゆき あつさゆみはるのやまへをこえくれはみちもさりあへすはなそちりける (115) 梓弓春の山辺を越え来れば道も避り敢へず花ぞ散りける 「滋賀の山越えに女が多く私に出会ったのに詠ん...
古典

第百二段  一目置かれた衛士

尹大納言光忠入道、追儺の上卿をつとめられけるに、洞院右大臣殿に次第を申し請けられければ、「又五郎男を師とするより外の才覚候はじ」とぞ、のたまひける。かの又五郎は、老いたる衛士の、よく公事になれたる者にてぞありける。近衛殿着陣し給ひける時、軾...