古典

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第二百三十八段  兼好の自慢話 その一~馬芸~

御随身近友が自讃とて、七箇条書きとどめたる事あり。皆、馬芸、させることなき事どもなり。その例を思ひて、自讃の事七つあり。 一、人あまたつれて花見歩きしに、最勝光院の辺にて、男の馬を走らしむるを見て、「今一度馬を馳するものならば、馬倒れて、落...
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《風の音による秋》

秋の歌合しける時によめる  紀よしもち もみちせぬときはのやまはふくかせのおとにやあきをききわたるらむ (251) 紅葉せぬ常磐の山は吹く風の音にや秋を聞き渡るらむ 「秋の歌合をした時に詠んだ  紀淑望 紅葉しない常緑樹の山は、吹く風の音に...
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第二百三十七段  故実への疑念

柳筥(やないばこ)に据ゆるものは、縦様・横様、物によるべきにや。「巻物などは縦様に置きて、木の間より紙ひねりを通して結ひつく。硯も縦様に置きたる、筆転ばず、よし」と、三条右大臣殿仰せられき。勘解由小路(かでのこうぢ)の家の能書の人々は、かり...