山川 信一

古典

《翻意を促す》

題しらす 源宗于の朝臣 あはすしてこよひあけなははるのひのなかくやひとをつらしとおもはむ (624) 逢はずして今宵明けなば春の日の長くや人をつらしと思はむ 「題知らず 源宗于の朝臣 逢わないで夜が明けてしまったら、春の日のように長くあなた...
古典

《断りの歌》

題しらす をののこまち みるめなきわかみをうらとしらねはやかれなてあまのあしたゆくくる (623) みるめ無き我が身を浦と知らねばや離れなで海人の足弛く来る 「題知らず 小野小町 海松布・見る目が無い私の身を浦・憂しと知らないから、離れてし...
古典

《涙の激しさ》

題しらす なりひらの朝臣 あきののにささわけしあさのそてよりもあはてこしよそひちまさりける (622) 秋の野に笹分けし朝の袖よりも逢はで来し夜ぞ漬ち勝りける 「題知らず 業平の朝臣 秋の野に笹を分けた朝の袖よりも逢わないで帰って来た夜が濡...