山川 信一

古典

《身に覚えのない噂》

題しらす よみ人しらす かねてよりかせにさきたつなみなれやあふことなきにまたきたつらむ (627) 予てより風に先立つ浪なれや逢ふことなきにまだき立つらむ 「題知らず 詠み人知らず 予め風に先立つ浪なのかなあ。逢うことが無いのに早くも立って...
古典

《情景と詞》

題しらす 在原元方 あふことのなきさにしよるなみなれはうらみてのみそたちかへりける (626) 逢ふことの渚にし寄る波なればうらみてのみぞ立ちかへりける 「題知らず 在原元方 逢うことが無い渚に寄る波なので、浦見て(恨みて)ばかり帰ることだ...
古典

《つれなさの訳》

題しらす みふのたたみね ありあけのつれなくみえしわかれよりあかつきはかりうきものはなし (625) 有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂き物は無し 「題知らず 壬生忠岑 有明の月がつれなく見えた別れから暁ほどつらいものは無い。」 「(見...