2023-11

古典

《夏の虫》

題しらす 読人しらす あけたてはせみのをりはへなきくらしよるはほたるのもえこそわたれ (543) 明け立てば蝉のをりはへなき暮らし夜は蛍の燃えこそ渡れ 「夜が明けると蝉がずっと長く鳴くように泣き暮らし、夜は蛍が光るように恋心が燃え続けるが・...
古典

《春の心》

題しらす 読人しらす はるたてはきゆるこほりののこりなくきみかこころはわれにとけなむ (542) 春立てば消ゆる氷の残りなく君が心は我に溶けなむ 「春になると消える氷のように残ることなく君の心は我にうちとけてほしい。」 「春立てば消ゆる氷の...
古典

《同じ心に》

題しらす 読人しらす よそにしてこふれはくるしいれひものおなしこころにいさむすひてむ (541) 余所にして恋ふるは苦し入れ紐の同じ心にいざ結びてむ 「遠く離れたところで恋しく思うのは苦しい。入れ紐のように同じ心でさあ結んでしまおう。」 「...