2023-06

古典

《無常の思想》

たちはな  小野滋蔭 あしひきのやまたちはなれゆくくものやとりさためぬよにこそありけれ (430) あしひきの山発ち離れ行く雲の宿り定めぬ世にこそありけれ 「山を発ち離れていく雲のように泊まる所を定めない人の世であることだが・・・。」 「あ...
古典

《逢うは別れの始まり》

からもものはな  ふかやふ あふからもものはなほこそかなしけれわかれむことをかねておもへは (429) 逢ふからも物は尚こそ悲しけれ別れむ事を予て思へば 「逢うとすぐに物はやはり悲しいことだが・・・。別れることをあらかじめ思うから。」 「か...
古典

《物名のゲーム性》

すもものはな  つらゆき いまいくかはるしなけれはうくひすもものはなかめておもふへらなり (428) 今幾日春し無ければ鶯も物は眺めて思ふべらなり 「もう幾日も春が無いので、鶯も物をじっと眺めているようだ。」 「(春)し」は、強意の副助詞。...