2022-07

古典

《寂しさはかなしみに》

題しらす よみ人しらす きみしのふくさにやつるるふるさとはまつむしのねそかなしかりける (200) 君しのぶ草に窶るる古里は松虫の音ぞかなしかりける 「私は君を偲んで衰え、家は忍ぶ草に荒れる古里は、松虫の音こそがかなしいことだなあ。」 「君...
古典

第百八十四段  この母にしてこの子あり

相模守時頼の母は、松下の禅尼とぞ申しける。守を入れ申さるる事ありけるに、すすけたる明り障子のやぶればかりを、禅尼手づから、小刀して切りまはしつつ張られければ、兄の城の介義景、その日のけいめいして候ひけるが、「給はりて、なにがし男に張らせ候は...
古典

《触覚と聴覚》

題しらす よみ人しらす あきのよはつゆこそことにさむからしくさむらことにむしのわふれは (199) 秋の夜は露こそ殊に寒からし草叢ごとに虫の侘ぶれば 「秋の夜は露こそが特に寒いらしい。草叢ごとに虫がつらがって鳴いているから。」 「秋の夜は露...