2021-12

古典

第九十一段   手加減無き否定

赤舌日(しゃくぜつにち)といふ事、陰陽道には沙汰なき事なり。昔の人これを忌まず。この比、何者の言ひ出でて忌み始めけるにか、「この日ある事、末とほらず」と言ひて、その日言ひたりしこと、したりしこと、かなはず、得たりし物は失ひつ、企てたりし事な...
古典

《桜の香り》

寛平御時きさいの宮のうたあはせのうた ありはらのもとかた かすみたつはるのやまへはとほけれとふきくるかせははなのかそする (103) 霞立つ春の山辺は遠けれど吹き来る風は花の香ぞする 「霞が立つ春の山の辺りは遠いけれど、そこから吹いてくる風...
古典

第九十段  不行き届きな関係

大納言法印の召し使ひし乙鶴丸、やすら殿といふ者を知りて、常に行き通ひしに、或時出でて帰り来たるを、法印、「いづくへ行きつるぞ」と問ひしかば、「やすら殿のがりまかりて候」と言ふ。「そのやすら殿は、男か法師か」と又問はれて、袖かきあはせて、「い...