古典

第二百八段  形式主義への戒め

経文などの紐を結ふに、上下よりたすきにちがへて、二筋の中より、わなの頭を横さまに引き出す事は、常の事なり。さやうにしたるをば、華厳院弘舜僧正、解きてなほさせけり。「これはこの比やうの事なり。いとにくし。うるはしくは、ただくるくると巻きて、上...
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《秋の天と地》

題しらす  よみ人しらす なきわたるかりのなみたやおちつらむものおもふやとのはきのうへのつゆ  (221) 鳴き渡る雁の涙や落ちつらむ物思ふ宿の萩の上の露 「鳴き渡る雁の涙が落ちたのだろうか。物思う宿の萩の上の露は。」 「涙や」の「や」は、...
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第二百七段  迷信を超える理屈

亀山殿建てられんとて、地を引かれけるに、大きなる蛇、数も知らず凝り集りたる塚ありけり。「この所の神なり」といひて、ことのよしを申しければ、「いかがあるべき」と勅問ありけるに、「古くよりこの地を占めたる物ならば、さうなく掘り捨てられがたし」と...