古典

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第二十三段 ~その三 後日談~

まれまれかの高安に来てみれば、初めこそ心にくくもつくりけれ、今はうちとけて、手づからいひがひ取りて、けこのうつはものに盛りけるを見て、心憂うがりて行かずなりにけり。さりければ、かの女、大和の方を見やりて、 君があたり見つつを居らむ生駒山雲な...
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第二十三段 ~その二 歌の力~

さて、年ごろ経るほどに、女、親なく、頼りなくなるままに、もろともにいふかひなくてあらむやはとて、河内の国高安の郡に、行き通ふ所いできにけり。さりけれど、このもとの女、悪しと思へるけしきもなくて、いだしやりければ、男、異心ありてかかるにやあら...
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第二十三段 ~その一 幼なじみの恋~

昔、ゐなかわたらひしける人の子ども、井のもとにいでて遊びけるを、おとなになりにければ、男も女もはぢかはしてありけれど、男はこの女をこそ得めと思ふ。女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども聞かでなむありける。 さて、このとなりの男のもとより、...