古典

古典

《どこか遠くへ》

寛平御時きさいの宮の歌合のうた 紀とものり さみたれにものおもひをれはほとときすよふかくなきていつちゆくらむ (153) 五月雨に物思ひをれば郭公夜深く鳴きていづち行くらむ 「宇多天皇の御代、皇后温子様が主催された歌合わせの歌  紀友則 五...
古典

第百三十八段  花の名残を惜しむ

「祭過ぎぬれば、後の葵不要なり」とて、或人の、御簾なるを皆取らせられ侍りしが、色もなく覚え侍りしを、よき人のし給ふ事なれば、さるべきにやと思ひしかど、周防内侍が、  かくれどもかひなき物はもろともにみすの葵の枯葉なりけり  と詠めるも、母屋...
古典

《引き留めるために》

題しらす  みくにのまち やよやまてやまほとときすことつてむわれよのなかにすみわひぬとよ (152) やよや待て山郭公言伝てむ我世中に住みわびぬとよ 「題知らず  三国町 ねえ、待って。山郭公よ。伝言を頼もう。私は世の中に住み悩んでしまった...